2022/12/07 15:56

脳卒中後遺症(片麻痺)

片麻痺とは、右、左どちらか一方の手足が動きにくくなること、つまり片側の運動機能が低下することをいいます。

脳卒中は、左右いずれかの大脳半球に生じることが多く、麻痺のほとんどが片麻痺と考えてよいのですが、単に手足が動きにくくなるだけというわけではなく、手足の感覚の麻痺や、しゃべりにくくなる構音(こうおん)障害、視野の狭窄(きょうさく)などがよくある症状です。

また、右大脳、左大脳の役割の違いから、右麻痺と左麻痺では障害の種類に違いがあります。代表的な違いは右麻痺の人の失語症、左麻痺の人の失行、失認(頭ではわかっていても、動作ができない、例えばパジャマの着方はわかっているけど、ズボンを頭からかぶろうとする)などがあります。

麻痺の程度が同じだとしても、右麻痺と左麻痺では施術のやり方、リハビリメニューや接し方が違ってくるというわけです。

片麻痺に伴う障害の種類

患者さんやご家族の方とお話ししていると、「左側の麻痺(つまり右脳の脳梗塞)で運がよかったです。」という方がいます。その理由は、利き腕である右手が動くので、はしがもてる、字が書けるまたは、失語症にならないということをさしているのではないかと思われます。

しかし、それは本当でしょうか?

実は、左麻痺の方が寝たきりになる人が多いといわれています。
なぜなら左麻痺は右麻痺より転倒しやすいからです。

これは、右脳には、ものの位置を把握したり、空間的な認識をつかさどる機能があり、右脳卒中により、それらが破綻し左半側空間失認を生じていることがあるためです。

また同名半盲という、麻痺のある側(この場合左側)の視野が狭くなる現象により、転びやすさに拍車がかかります。

「左麻痺は転倒注意」

格言として覚えておくのもいいかもしれません。

転倒を予防するための具体的な日常生活でのポイントは、

①右側から声をかける

②生活用品は右よりに置く

等です。

高齢者における転倒は、骨粗鬆症も手伝って、「骨折」に結びついてしまうケースも多く日常生活をガラリと変えてしまう原因となります。

右麻痺、左麻痺どちらも大変な後遺症であるという自覚とともに、見えていることと認識できていることを確認しながら、安全な生活を心がけていくのも大事ともいえるでしょう。