2022-12-05 20:25:00

脳卒中・骨折タイプのリハビリ

「なんのためにリハビリをするのでしょう?」

患者さんと向き合うときに、よく聞かれる言葉です。安易には答えられない質問ですが、訪問マッサージのリハビリでは主に3つのタイプのリハビリに分けられています。

そのタイプによって目標やコツも違うということを分かった上でこのご質問にはお答えしていきます。

まず、その一つに脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)・骨折タイプのリハビリを取り上げていきます。

入院中の患者さんは主に訓練室で退院を目標に毎日リハビリを続けてきました。
ところが、退院したとたん毎日続けていたリハビリがなくなります。

実は、退院直後のリハビリが最大の勝負のポイントで、ご自宅での生活のためのリハビリは回復期の延長にあたります。

つまりこの時期に、活動度を上向きにできるかどうかでその後の流れが決まってしまうので、集中的リハビリが最重要となります。

ここでいう「集中的リハビリ」とは、単に患者さんの体をいっぱい動かすということではなく、在宅リハビリを行うための環境整備にも力をいれる、という意味です。

具体的には、医師やケアマネージャーと連携を築き、どこまで回復可能かを予想しリハビリ目標を立てます。

リハビリ目標が立てば何をするべきかのリハビリ内容も決まってきます。

ただし、脳卒中・骨折タイプの方は突然のアクシデントにより、活動度を失っているので、患者さんの「心」の問題も重要です。

障害の受け入れをご本人に強要しないで、あくまでも自発性を大事にして出来ている(今まで、入院中にやられていたリハビリ)ところからのリハビリから始めていきます。

なんのためのリハビリか?

このタイプには生活の中の活動度の低下を最小限にくいとめるためとお答えします。つまり、活動度を維持、向上させ、いままでの快適な人生をより長く続けるためのリハビリなのです。

2022-12-05 17:47:00

骨粗鬆症

骨の事を深く考えたことがあるでしょうか?

骨折など具体的に身に起こった時などは、考えることもありますが、普段からあまり意識して考えてはいないと思います。

骨は私たちの身体を支え、脳や内臓を守っています。
また、筋肉は収縮することにより骨を引っ張り、関節を動かします。
人間以外の哺乳類、鳥類、ついでにいうと恐竜も同じような骨格を持っています。
たとえば、恐竜ですと、1億5000万年前のティラノザウルスが人間の骨と基本的な構造がよく似ています。

背骨の一つ一つの形、肩甲骨や骨盤があることも似ていますし、大腿骨の先が球形になって股関節をつくっていることも、上腕や太ももは一本の骨なのに前腕やすねの骨は二本であることも共通しています。
恐竜は絶滅しましたが、骨の形は、その有利さゆえに数億年におよぶ長い進化の中で、保存されているのです。

興味深く、そしてものすごいことだと思います。
骨格だけでなく、骨そのものをみても、骨はすぐれた組織です。
骨にはどんなイメージを持たれていますか?
強い、硬い、白い、変化しない、ポキッと折れる・・・。確かにそうです。
整形外科医は、手術のときは骨をのこぎり(ボーンソーという電動ノコです。)で切ったり、ドリルで穴をあけたり、ヤスリで削ったりしています。
骨を硬くて強い存在として扱っていることも事実です。

しかし、骨はもっとダイナミック、流動的、変化する存在です。

一生にわたり、新陳代謝を繰り返しています。骨の細胞が、常に古い骨を溶かして新しい骨をつくっているのです。こうした骨の新陳代謝、つまり骨代謝にはいくつものメリットがあります。

第一に、古い骨が貯まらず、いつまでも残っていることがありません。骨がずっと変わらずにいると、私たちが年をとるとともに老朽化が進むのは免れません。骨代謝はそれを防いでくれます。

第二のメリットは、成長期の骨の成長を支えていることです。小さな子供の骨が、大人の大きな骨になるためには、形や大きさを相応に変化させなければなりません。

旺盛な身体の成長とともに、適切な骨代謝が行われ、骨の形の調整をしているのです。

変わることのない骨の構造と、常に変わり続ける骨そのものの代謝。
ほんとうに骨はよくできていて、おもしろい存在です。
この骨粗鬆症という病気を通じて骨のことを知れば知るほど、不思議な魅力の存在ともいえるでしょう。

2022-12-05 17:46:00

むくみ

夕方になると靴がきつく感じたり、靴下を脱ぐと足首にゴムの跡がくっきりと残っていたりすることがあります。

一日の終わりに重力の関係で静脈血が足にたまり、静脈圧が上がり高くなると、皮下組織の水分や老廃物が静脈に戻れなくなり、むくみになります。このむくみは、起立性浮腫といって誰にでも起こりやすいのが特徴です。

一口にむくみといっても、たくさんの浮腫があります。リンパ浮腫、静脈性浮腫、低たんぱく性浮腫、肥満性浮腫、心不全、廃用性浮腫、脂肪浮腫、悪性腫瘍などがあります。

主に、むくみといわれるリンパ浮腫、静脈性浮腫、低たんぱく性浮腫のこの3つから考えていきたいと思います。

まずは、リンパ浮腫です。私達の体には、血管とともにリンパ管が張り巡らされています。リンパ管はひと言でいうと、体の老廃物を運ぶ「排水管」の役割を果たしています。

このリンパ管の働きが何らかの原因で悪くなると、皮膚組織のある部分に体液がたまってむくみが起こります。

リンパ浮腫は、生命にかかわりませんが、放置すると悪化し日常生活に支障をきたしたり、細菌感染など合併症を引き起こしたりする危険性があります。
例えば乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節が切除されると、切除した側の腕や足だけが健康な側よりやや白っぽくむくんできます。
多くの場合は、痛みはありませんが、感覚が鈍ったような違和感、重くだるい感じなどの不快感や苦痛を伴います。
また患者さん自身が外見の変化に強いストレスを感じて、うつ状態になる場合もあり、QOL(生活の質)は大きく低下します。

リンパ浮腫の中でも原因の明らかでないものを一次性(原発性)リンパ浮腫といい、患者数は比較的少なく、リンパ浮腫の患者数全体の6%ほどです。

リンパ管の炎症、腫瘍の浸潤、手術によるリンパ管の切除、放射線照射によるリンパ管の破損などにより、リンパ管が閉塞してむくみが出るものを二次性(続発性)リンパ浮腫といいます。リンパ浮腫といわれるもののうち9割以上は二次性のもので、多いのが、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの手術の際、リンパ節の切除や、放射線照射によってリンパ節が障害された場合です。

二次性リンパ浮腫の原因には、ほかに悪性腫瘍のリンパ管およびリンパ節への転移、リンパ管炎(蜂窩織炎)、寄生虫感染、血栓性静脈炎に伴うリンパ浮腫、外傷性リンパ浮腫などがあります。

むくみの出方でわかるリンパ浮腫の特徴

リンパ浮腫の場合、右乳がん手術後には右腕に、左乳がん手術後には左腕と片側にむくみがでます。
両側乳がん手術後でも片側にだけむくみが出ることがあります。

子宮がんや乳がんや前立腺がんなどの手術後の場合、まれに両足にむくみが出ることもありますが、ほとんどは片足にだけ出ます。
もし両足に出ても必ず左右差があるので、起立性のむくみなどとは違うリンパ浮腫の特徴です。

2022-12-05 17:45:00

しびれ

「しびれを放っておくと危険」というお話しを聞いたことはありませんか?

日常生活にさほど支障がない場合、つい我慢をしてしまうことが多い「しびれ」ですが、実はそこに大きな問題が潜んでいる可能性は十分にあります。
たかが、「しびれ」と放っておかず、まずはその原因を探っていきましょう。

神経は、視覚や聴覚や味覚などを脳に伝える感覚系の神経と、脳の指令を体に命じて正常な日常生活を送らせるための運動系の神経に分けられ、両方ともとても大事です。
しびれは、感覚系の神経が傷ついて障害されているという注意信号なのです。
感覚が鈍くなる、なくなるといった赤信号になるまで放っておくうちに、実はとんでもない運動神経の症状が進行していることが多々あるのです。

しびれには、ビリビリと感電したようなもの、ジンジン、チクチクと軽く痛むようなものなど、実に様々な異常感覚があります。

それらが、感覚機能の注意信号だとすれば、放っておくとやがて運動機能にも問題が起こります。

人間の動作は、脳からの命令を運動神経が筋肉に伝えて成り立っています。
もし、その中継点が阻止されてしまうと、脳の命令が遮断され、意図するように手足を動かせなくなったり、思うように筋肉に力が入らなくなったりします。
その結果、ペンや箸をうまく持てなくなったり、筋肉が衰えて歩けなくなったりするなど、今までこなせていた日常の動作が、できなくなってしまいます。

そして、それを体が補おうとすることで無理が重なり、関節の変形や体の他の部分に不調を次々に呼び込んでしまうのです。

誰でも自分が年を取ったことを認めたくないものですが、残念ながら加齢による体の変化は誰にも避けられないことです。
年を重ねるほどに肌のみずみずしさが失われていくように、骨と骨の間でクッションのような役目を果たしている椎間板(ついかんばん)にも、老化現象はやってきます。

長く使ったクッションがくたびれてぺしゃんこになるように、もはやクッションの役割を果たせなくなった椎間板が空気の抜けたタイヤのようにはみ出すと、うしろにある神経を圧迫し、しびれをひき起こします。

こうした症状は初老と呼ばれる中年以降に多くなりますので、働き盛りの40歳代から気をつけていかねばなりません。

また、加齢により骨自体ももろくなり、骨が棘状に出っ張ると、体重や余分な力が加わる時にきしみをあげるようにしびれが起こりやすくなります。

体重の増加も椎間板や骨に無駄な圧力や負担をかけるといえます。

2022-12-05 17:44:00

リウマチ

リウマチとは、どんな病気でしょう?

ヘルパーさんたちに聞いてみたところ、「体じゅうが痛くなる病気」「冬にお年寄りに起こる神経痛」「なかなか治らない恐ろしい難病」「寝たきりになりやすい病気」などなどさまざまな回答が集まりました。

そもそも「リウマチ」という言葉はギリシア語で「流れる」という意味です。
全身にわるい液が流れて、痛いところが流れるようにあちこちに移動すると昔の人が考えたため、リウマチといわれるようになったとされています。

起源は古く、ネイティブ・アメリカンの骨の研究から、少なくとも3000年前から人類はこの病気に苦しめられてきたと推測されています。

現在、全国の患者数は約76万人に上るといわれ、決して珍しい病気ではありません。
しかし、誤解も多く、老人の病気だという認識をもつ人はいまだに多いのではないでしょうか。

リウマチとは、全身に症状が出てしまう「自己免疫疾患」が起こることだと考えられています。

疲れやすく、目や口が乾いたり、空咳、微熱、貧血、肺炎になったり等さまざまな症状が関節以外にも表れるということは、意外に知られていません。

発症は40歳代が最も多く、総患者数の約70%が、この年代で発症しています。
そして、女性と男性の発症比率は、4.5対1と圧倒的に女性が多いのが特徴です。

仕事、育児、家事、介護等、まさに働き盛りの年齢で病名を告げられ、診断を受けた時の不安は言葉に尽くせないでしょう。

さらに、平均寿命の延びとともに、患者さんの高齢化が進み、患者数の年齢分布は60歳以上が最も多くなっており、お年寄りのリウマチ患者さんが急増しています。

一般的に考えて、高齢になるほどリウマチになってからの期間が長くなるわけですから、症状が進行しています。

お年寄りのリウマチ患者さんの特徴としては、さらにこれから年月を重ねるにしたがって障害が重くなっていくので、将来に不安をもっている患者さんが多いことなどがいえます。