骨粗鬆症
骨の事を深く考えたことがあるでしょうか?
骨折など具体的に身に起こった時などは、考えることもありますが、普段からあまり意識して考えてはいないと思います。
骨は私たちの身体を支え、脳や内臓を守っています。
また、筋肉は収縮することにより骨を引っ張り、関節を動かします。
人間以外の哺乳類、鳥類、ついでにいうと恐竜も同じような骨格を持っています。
たとえば、恐竜ですと、1億5000万年前のティラノザウルスが人間の骨と基本的な構造がよく似ています。
背骨の一つ一つの形、肩甲骨や骨盤があることも似ていますし、大腿骨の先が球形になって股関節をつくっていることも、上腕や太ももは一本の骨なのに前腕やすねの骨は二本であることも共通しています。
恐竜は絶滅しましたが、骨の形は、その有利さゆえに数億年におよぶ長い進化の中で、保存されているのです。
興味深く、そしてものすごいことだと思います。
骨格だけでなく、骨そのものをみても、骨はすぐれた組織です。
骨にはどんなイメージを持たれていますか?
強い、硬い、白い、変化しない、ポキッと折れる・・・。確かにそうです。
整形外科医は、手術のときは骨をのこぎり(ボーンソーという電動ノコです。)で切ったり、ドリルで穴をあけたり、ヤスリで削ったりしています。
骨を硬くて強い存在として扱っていることも事実です。
しかし、骨はもっとダイナミック、流動的、変化する存在です。
一生にわたり、新陳代謝を繰り返しています。骨の細胞が、常に古い骨を溶かして新しい骨をつくっているのです。こうした骨の新陳代謝、つまり骨代謝にはいくつものメリットがあります。
第一に、古い骨が貯まらず、いつまでも残っていることがありません。骨がずっと変わらずにいると、私たちが年をとるとともに老朽化が進むのは免れません。骨代謝はそれを防いでくれます。
第二のメリットは、成長期の骨の成長を支えていることです。小さな子供の骨が、大人の大きな骨になるためには、形や大きさを相応に変化させなければなりません。
旺盛な身体の成長とともに、適切な骨代謝が行われ、骨の形の調整をしているのです。
変わることのない骨の構造と、常に変わり続ける骨そのものの代謝。
ほんとうに骨はよくできていて、おもしろい存在です。
この骨粗鬆症という病気を通じて骨のことを知れば知るほど、不思議な魅力の存在ともいえるでしょう。