主な傷病一覧

2022-12-05 17:46:00

むくみ

夕方になると靴がきつく感じたり、靴下を脱ぐと足首にゴムの跡がくっきりと残っていたりすることがあります。

一日の終わりに重力の関係で静脈血が足にたまり、静脈圧が上がり高くなると、皮下組織の水分や老廃物が静脈に戻れなくなり、むくみになります。このむくみは、起立性浮腫といって誰にでも起こりやすいのが特徴です。

一口にむくみといっても、たくさんの浮腫があります。リンパ浮腫、静脈性浮腫、低たんぱく性浮腫、肥満性浮腫、心不全、廃用性浮腫、脂肪浮腫、悪性腫瘍などがあります。

主に、むくみといわれるリンパ浮腫、静脈性浮腫、低たんぱく性浮腫のこの3つから考えていきたいと思います。

まずは、リンパ浮腫です。私達の体には、血管とともにリンパ管が張り巡らされています。リンパ管はひと言でいうと、体の老廃物を運ぶ「排水管」の役割を果たしています。

このリンパ管の働きが何らかの原因で悪くなると、皮膚組織のある部分に体液がたまってむくみが起こります。

リンパ浮腫は、生命にかかわりませんが、放置すると悪化し日常生活に支障をきたしたり、細菌感染など合併症を引き起こしたりする危険性があります。
例えば乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節が切除されると、切除した側の腕や足だけが健康な側よりやや白っぽくむくんできます。
多くの場合は、痛みはありませんが、感覚が鈍ったような違和感、重くだるい感じなどの不快感や苦痛を伴います。
また患者さん自身が外見の変化に強いストレスを感じて、うつ状態になる場合もあり、QOL(生活の質)は大きく低下します。

リンパ浮腫の中でも原因の明らかでないものを一次性(原発性)リンパ浮腫といい、患者数は比較的少なく、リンパ浮腫の患者数全体の6%ほどです。

リンパ管の炎症、腫瘍の浸潤、手術によるリンパ管の切除、放射線照射によるリンパ管の破損などにより、リンパ管が閉塞してむくみが出るものを二次性(続発性)リンパ浮腫といいます。リンパ浮腫といわれるもののうち9割以上は二次性のもので、多いのが、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの手術の際、リンパ節の切除や、放射線照射によってリンパ節が障害された場合です。

二次性リンパ浮腫の原因には、ほかに悪性腫瘍のリンパ管およびリンパ節への転移、リンパ管炎(蜂窩織炎)、寄生虫感染、血栓性静脈炎に伴うリンパ浮腫、外傷性リンパ浮腫などがあります。

むくみの出方でわかるリンパ浮腫の特徴

リンパ浮腫の場合、右乳がん手術後には右腕に、左乳がん手術後には左腕と片側にむくみがでます。
両側乳がん手術後でも片側にだけむくみが出ることがあります。

子宮がんや乳がんや前立腺がんなどの手術後の場合、まれに両足にむくみが出ることもありますが、ほとんどは片足にだけ出ます。
もし両足に出ても必ず左右差があるので、起立性のむくみなどとは違うリンパ浮腫の特徴です。

2022-12-05 17:45:00

しびれ

「しびれを放っておくと危険」というお話しを聞いたことはありませんか?

日常生活にさほど支障がない場合、つい我慢をしてしまうことが多い「しびれ」ですが、実はそこに大きな問題が潜んでいる可能性は十分にあります。
たかが、「しびれ」と放っておかず、まずはその原因を探っていきましょう。

神経は、視覚や聴覚や味覚などを脳に伝える感覚系の神経と、脳の指令を体に命じて正常な日常生活を送らせるための運動系の神経に分けられ、両方ともとても大事です。
しびれは、感覚系の神経が傷ついて障害されているという注意信号なのです。
感覚が鈍くなる、なくなるといった赤信号になるまで放っておくうちに、実はとんでもない運動神経の症状が進行していることが多々あるのです。

しびれには、ビリビリと感電したようなもの、ジンジン、チクチクと軽く痛むようなものなど、実に様々な異常感覚があります。

それらが、感覚機能の注意信号だとすれば、放っておくとやがて運動機能にも問題が起こります。

人間の動作は、脳からの命令を運動神経が筋肉に伝えて成り立っています。
もし、その中継点が阻止されてしまうと、脳の命令が遮断され、意図するように手足を動かせなくなったり、思うように筋肉に力が入らなくなったりします。
その結果、ペンや箸をうまく持てなくなったり、筋肉が衰えて歩けなくなったりするなど、今までこなせていた日常の動作が、できなくなってしまいます。

そして、それを体が補おうとすることで無理が重なり、関節の変形や体の他の部分に不調を次々に呼び込んでしまうのです。

誰でも自分が年を取ったことを認めたくないものですが、残念ながら加齢による体の変化は誰にも避けられないことです。
年を重ねるほどに肌のみずみずしさが失われていくように、骨と骨の間でクッションのような役目を果たしている椎間板(ついかんばん)にも、老化現象はやってきます。

長く使ったクッションがくたびれてぺしゃんこになるように、もはやクッションの役割を果たせなくなった椎間板が空気の抜けたタイヤのようにはみ出すと、うしろにある神経を圧迫し、しびれをひき起こします。

こうした症状は初老と呼ばれる中年以降に多くなりますので、働き盛りの40歳代から気をつけていかねばなりません。

また、加齢により骨自体ももろくなり、骨が棘状に出っ張ると、体重や余分な力が加わる時にきしみをあげるようにしびれが起こりやすくなります。

体重の増加も椎間板や骨に無駄な圧力や負担をかけるといえます。

2022-12-05 17:44:00

リウマチ

リウマチとは、どんな病気でしょう?

ヘルパーさんたちに聞いてみたところ、「体じゅうが痛くなる病気」「冬にお年寄りに起こる神経痛」「なかなか治らない恐ろしい難病」「寝たきりになりやすい病気」などなどさまざまな回答が集まりました。

そもそも「リウマチ」という言葉はギリシア語で「流れる」という意味です。
全身にわるい液が流れて、痛いところが流れるようにあちこちに移動すると昔の人が考えたため、リウマチといわれるようになったとされています。

起源は古く、ネイティブ・アメリカンの骨の研究から、少なくとも3000年前から人類はこの病気に苦しめられてきたと推測されています。

現在、全国の患者数は約76万人に上るといわれ、決して珍しい病気ではありません。
しかし、誤解も多く、老人の病気だという認識をもつ人はいまだに多いのではないでしょうか。

リウマチとは、全身に症状が出てしまう「自己免疫疾患」が起こることだと考えられています。

疲れやすく、目や口が乾いたり、空咳、微熱、貧血、肺炎になったり等さまざまな症状が関節以外にも表れるということは、意外に知られていません。

発症は40歳代が最も多く、総患者数の約70%が、この年代で発症しています。
そして、女性と男性の発症比率は、4.5対1と圧倒的に女性が多いのが特徴です。

仕事、育児、家事、介護等、まさに働き盛りの年齢で病名を告げられ、診断を受けた時の不安は言葉に尽くせないでしょう。

さらに、平均寿命の延びとともに、患者さんの高齢化が進み、患者数の年齢分布は60歳以上が最も多くなっており、お年寄りのリウマチ患者さんが急増しています。

一般的に考えて、高齢になるほどリウマチになってからの期間が長くなるわけですから、症状が進行しています。

お年寄りのリウマチ患者さんの特徴としては、さらにこれから年月を重ねるにしたがって障害が重くなっていくので、将来に不安をもっている患者さんが多いことなどがいえます。

2022-12-05 17:43:00

関節拘縮とは

訪問マッサージの患者さんで高齢者の方が、風邪、腰痛、下痢などのちょっとした病気が原因で、大事をとりすぎた結果、廃用症候群を合併して寝たきりになってしまったという話は、珍しいケースではありません。

そうなったことで、関節を動かさない状態が続くと硬くなり拘縮につながっていってしまいます。

関節の周りの軟らかい部分(皮膚、筋肉、腱、靭帯など)の変化が原因で関節の動く範囲が狭くなった状態のことを関節拘縮(かんせつこうしゅく)といいます。

英語ではcontractureと書き「contract=収縮する」という言葉が語源であり、もともとは「関節によって隣り合う2つの部分が、筋肉の収縮によって互いに近づいた状態が継続していること」というような意味があったようです。

しかし、最近では「筋肉の収縮によって互いに近づいた状態が継続していること」は拘縮に含まれないという考え方もあるようです。

神経系の異常などで、筋肉が緊張している状態が原因で関節の動く範囲が狭くなっている場合などは、拘縮に含めないほうがよいという考え方です。

その他にも、痛みなどが原因で、力んでしまって筋肉が収縮しているために、関節が動きにくい場合や、認知症などのためにリラックスしにくく、関節の動く範囲が一時的に狭くなっている場合なども、拘縮とはとらえてないようです。

さらに、関節の動く範囲には「体が硬い、または軟らかい」などと表現されるように個人差や年齢による差があるのも事実です。

まずは、関節拘縮とはどういうことかを考えてみたいと思います。

2022-12-05 17:42:00

変形性膝関節症

みなさんは、人間が一生のうちで地球5周分もの距離を歩くということをご存知でしょうか?しかも、脚には、一歩踏み出すのに体重の3~4倍、階段の昇降では6~7倍もの負担がかかります。

そうなると、いろいろなひずみが体に生じてしまうのは仕方ないことかもしれません。

そのひずみによって起こる痛みのなかで、膝の軟骨がすり減ったことによって起こるものが「変形性膝関節症」とよばれています。

男女で比べると1:4の割合で女性に多くみられ、肥満や遺伝子も関与しているといわれています。

※肥満度(BMI)=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
25以上を肥満

その中で、原因がはっきりわからないものを1次性変形性膝関節症といいます。

「変形性膝関節症」は女性の割合が多く、女性ホルモンの分泌が減少する50歳以上の方にかかる率が高くなります。また、女性は男性に比べ、体重を支える筋力、膝を安定させる下半身の筋力が弱いため、膝に負担がかかりやすいのです。

体質的になりやすい人もいて、年齢とともに手指の第一関節が節くれだってくる「ヘバーデン結節」ができる体質の人は、かかる要素が高いともいわれています。

けがなどの後遺症として起こる変形性膝関節症を2次性変形性膝関節症といいます。

原因となるのは、ひざやその周囲の骨折、靭帯損傷、半月板損傷、膝蓋骨の脱臼、膝関節捻挫などです。

細菌感染による病気が原因になることもあります。

けがをした当初は、痛みも少なく、無理がききますが、年齢を重ねるにつれて、徐々に痛みが出てくることがあります。

膝の骨は軟骨という厚さ3~4mmの柔らかい骨でおおわれていて、それがクッションのような役割をしています。

ところが、年齢とともに膝を支える筋力が低下し、関節に不具合がでると軟骨が次第にすり減ってきます。
それにより、痛みが出てくる病態が「変形性膝関節症」です。

はじめのうちは、朝起きたときの「膝のこわばり」や階段を降りるときの痛み程度ですが、進行すると、平地を歩いても痛くなります。

膝に水がたまることもあり、(水は整形外科で抜いてください、くせになるということはないようです。)動き自体も拘縮のため制限されています。

痛みのため活動の世界が小さくなり、痛みと相まって、精神的にも抑うつ的な「孤独な老人」になってしまい、ついには寝たきりになってしまう場合もあります。

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